Anthonello de Caserta の音楽

  1. Beaute parfaite (ballade)
  2. Dame d'onour en qui (ballade)
  3. Du val prilleus (ballade)
  4. Amour m'a le suer mis (ballade)
  5. Notes pour moi (ballade)
  6. Tres nouble dame (virelai)
  7. Dame gentil (rondeau)
  8. Dame d'onour c'on ne puet (rondeau)

アントネッロ・デ・カゼルタ(Anthonello de Caserta, late 14th C - early 15th C) は Modena 写本に8曲のフランス語の歌曲を残しています。またイタリア語の歌曲 (ballata や madrigal)も7曲残しています。

Anthonello の音楽の特徴は、 (1)シンコペーションを施された流麗な Superius の主旋律、 (2)定旋律風の Tenor、 (3)しばしばアルペジオ的動きをする Contra、 (4)全音階的なクリアーな響き、 と言えるとのではないかと思います。

全体にアントネッロの音楽は、鋭く前衛的な特徴が現れることはなく、 それでいてしっかり Ars Subtilior 的 特徴を兼ね備えているバランスのいい作曲家だと思います。

さて、以下各曲の簡単な解説です。

Beaute parfaite (ballade)
Superius と Tenor が8分の6拍子であるのにたいし Contra は4分の3拍子 で進行していきます。Superius のリズムの多彩さは Ars Subtilior 的、 Anthonello 的ですが、 注目してよいでしょう。
Dame d'onour en qui (ballade)
淡々と進行する Tenor と細かいアルペジオ的動きの Contra の対比、そのうえを 流れるようなシンコペーションで進む Superius の主旋律が Anthonello 的で面白い曲です。
Du val prilleus (ballade)
ゆったりとした4分の2拍子を基本としつつ、 8分の6、8分の9、3連符の動きと、 流動的に動いていく Superius が面白い曲です。
Amour m'a le suer mis (ballade)
Anthonello の作品のなかで最も演奏される機会が多い名曲です。 しみじみとした味わいの旋律を朗朗と歌いあげます。 後半の感情的な高まりも面白いです。
Notes pour moi (ballade)
当時としては極めて珍しい調号にシャープが用いられた曲です。 4分の2拍子の Tenor と Contra の上を8分の6拍子の Superius がゆったりと 流れていきます。
Tres nouble dame (virelai)
Contra と Superius で繰り返される Fa-Mi-Fa-Re というモティーフが 印象的な曲です。
Dame gentil (rondeau)
定旋律的な Tenor、 リズムの補完をする Contra、流麗な Superius と、 Anthonello に典型的な特徴を備えた曲です。
Dame d'onour c'on ne puet (rondeau)
3つのパートが別々のメンスーラを持っています。 A パートでは Superius は8分の6、Contra は8分の9、 Tenor は4分の3。 B パートでは Superius は4分の3、Contra は4分の2、 Tenor は8分の6 に変わります。

Last modified: 2002/11/05