10月3日 (火)  続2・歯のこと

きょうは、近くの歯医者さんに紹介状を書いていただいた大学病院の口腔外科にでかけてきました。

先月の半ばあたりから、お嬢さんは下の奥歯のあたりが痛むようになりました。レントゲンなどの結果、痛みの原因は、いろいろ理由があって生えてこないままになっている「幻の臼歯」であることがわかり、その歯を取り出すかどうか、また、取り出すにしてもその歯が歯肉や顎の骨の中でどのような状態になっているのかをもう少し詳しく調べるために、通っている歯医者さんが紹介状を書いて下さったのです。

病院ではまず、パントモグラフィという、顎の骨に歯が付いた状態をパノラマのように撮影する機械で、歯並びと顎の骨の状態を詳しく診ていただきました。

口腔外科の先生のお話によると、「幻の臼歯」は、顔や歯の神経が集まっている場所のすぐ上に位置しており、たくさんの注意を払っても、術後しばらくは唇や顔にちいさな不自由が生じる可能性が高いのだそうです。

また、「幻の臼歯」の上に生えている二本の奥歯は、本来は顎の骨や歯肉に支えられて根付いていなくてはならないのですが、真下にある歯がそれを阻害しているため、「幻の臼歯」の抜歯と共に、ぐらぐらしたり、過敏になったり、場合によっては抜けてしまう可能性があることも教えていただきました。

パントモグラフィでは、歯並びを表から見た図しか撮影することができません。そのため、CTをとって、こんどは歯並びを上から(頭部を顎のあたりで輪切りにしたかんじで)撮影してみると、「幻の臼歯」は、いわゆる食べ物に接する面を唇側に、根を舌側に向けて、ちょうど縦方向に倒れていることがわかりました。

しかも、この歯はたいへん大きいようです。お嬢さんの口の中で、地上(歯肉から上)に生えているどの歯よりも大きく見えます。もし、この歯がきちんと出ていてくれていたなら、たいそう役立っただろうと思いました。

歯を取り出すリスクをていねいに説明していただいたのち、お嬢さんとお医者さんは、それでも、やはり歯は取り出さなければならないだろうという合意に至りました。あとは方法と時期です。

お嬢さんは複数の薬品にアレルギーを持っており、また、呼吸器が弱い体質を持っています。そのようなわけで、麻酔は全身麻酔ではなく局所麻酔で、また、局所麻酔であっても全身状態をよく観察しながら行われることになりました。歯を取り出す時期についても、呼吸器の状態が安定しないこの季節は痛み止めでなんとか乗り切ることにし、季節が冬に移行する12月に行われることになりました。歯の取り出しは小さな手術室で行われ、取り出しには1時間以上かかるとのことです。

家に帰ってから、お嬢さんはカレンダーの12月2日のところに、赤いペンで大きく「surgery」と書き込みをしました。サージェリーということばは、まうかめ堂さんが研究においてごくたまに口にすることばです。なんとなく気に入っていたので、この時とばかりに書いてみました。

写真は、ハーバード大学のロースクールの庭です。よくみるとりすがちらりと写りこんでいます。

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