10月4日 (水)  CTのこと

昨日は、口腔外科にでかけたことを書きました。

口腔外科では、まず歯並び全体の写真をもとに先生が歯の状態を見てくださったあと、もう少し詳しいデータがほしいのでCTをとりましょうということになりました。

CTは、ふつうは何日か前に予約を入れて撮っていただき、すこし日数をかけて画像を選んで現像するものであるようですが、この病院には、急な依頼や急を要する患者さんのための、緊急CT室という設備があります。依頼書を持って緊急CT室に出かけると、その部屋は病院の一階の救急車の出入り口の近くにありました。

緊急CT室では、撮影のあと、すこし待っているとフィルムができあがります。撮影を終えて待っていると、お嬢さんのところの小さいさんぐらいのこどもが撮影を待っておられました。

小さいさんはとても心配そうな様子で、おかあさんとおばあさんに、痛くはないのかしきりにたずねています。

お嬢さんは小さいさんのとなりに掛けていたので、小さいさんがお嬢さんのかばんに描かれている羊の写真に目をとめているのに気付きました。また、小さいさんが手にもっている戦隊系のビニール人形が、お嬢さんのところの小さいさんとおそろいであることにも気付きました。

「いたくありませんよ、ぜんぜん」

お嬢さんは小さいさんに呼び掛けました。

「いたくないというより、この機械からは身体を強くするパワー光線が出るのです。お嬢さんはさっきこの光線を浴びましたが、たぶんあしたぐらいには、そのお人形みたいに強い身体に変身するはずです。これは、とっても特別な人にしか与えられないパワーなのです、すごいじゃないですか、おたがい。」

納得したような、しないような表情をしていた小さいさんでしたが、CT室の扉が開き、白衣を着た技師さんが手招きをしたとたん、ぶるぶる震えておかあさんにしがみつきました。

おかあさんが、しがみついたままの小さいさんといっしょにCT室に入ろうとすると、小さいさんはおかあさんから離れ、こんどはお嬢さんにしがみつきました。

おかあさんとおばあさんが、申しわけありませんと言いながらお嬢さんから小さいさんを離そうとすると、小さいさんはするりとお嬢さんから離れ、通路のまんなかにしっかり立つと、

「きょうは、やめにしますから」

と言うなり、そのままどこかに駆けていってしまいました。

おかあさんが小さいさんを追い、おばあさんが技師さんに相談しているあいだ、遠くでは小さいさんの小さい泣き声が響いていました。急いでCTを撮影しなければならないというからには、なにかたいへんな理由があるのでしょう。たいへん心配しています。

写真は、昨年末から今年のはじめにかけて降った雪です。郷里の家の二階から通りを撮ってみました。通りのまんなかより、人の出入りする両端に雪がより高く積もっているのは、早朝、除雪車が雪を両端におしのける形で「除雪」をしていったためです。この、除雪車による雪を除雪(といっても他に空間はありませんので、押し寄せられた雪をまた通りのまん中に戻すのですが)することから、郷里の冬の朝は始まります。

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