11月12日 (日)  ゆずのこと

木曜日あたりからなんとなく鼻風邪をひいた予感はありましたが、それから週末にかけて、お嬢さんの風邪はますますひどくなってゆきました。

金曜日はアーキヴィストの見習いのお仕事があり、燻蒸のために別室に移した史料や機材を、燻蒸のすんだ書庫に戻す続きをしていたのですが、お昼を過ぎたあたりから、これはどうも変かもしれないという予感がもそもそやってきました。

そのようなわけで、残りはあとまわしにして早退しようかと思ったのですが、その日はちょうど韓国からお客さまが史料の閲覧に来ておられました。韓国語を解する助手さんが研究日でお休みであったため、お嬢さんが帰ってしまうとなにか支障が出そうな予感があります。

予感はあたったようで、午後になってマイクロリーダーのトナーがなくなりました。マイクロリーダーのトナーはめったに消耗しないため、研究所にはスペアがありません。取り扱い店に電話をしていただいたところ、届くのは来週になってしまうようです。

マイクロフィルムで史料を閲覧しながら複写をしていた韓国からのお客さまがこの研究所に来ることができるのは今日までのようです。いろいろ考えたすえ、1、オリジナルを出してみて、それがゼロックスコピーに耐えられそうであれば、お嬢さんがかわりにゼロックスコピーをとり(二部とって、一部を研究所で持つことにします)、2、ゼロックスコピーに耐えられないようであれば、研究所備え付けのデジタルカメラで画像を撮り、3、マイクロフィルムのスキャンが終わっている史料については、CDから画像を読み出してプリントアウトする、という手はずをとることになりました。

不手際のおわびと、こういう手はずを取ることにしましたという経過と、それでも複写料金は変わりませんということを韓国語で説明していると、風邪がのどにも下りてきたような予感がしてきました。それでも、これらの作業が終わるまで早退はできません。

帰宅してからすぐ床につくと、夜中に呼吸器の発作がやってきました。この季節のお天気の変わり目にはよくこのような症状がでます。夜中に起き出して服薬と吸入をし、バッハなどを聴いているとおさまってきましたので、その日は土曜の昼近くまで眠ることができました。

ですが、眼がさめたお嬢さんに、土曜の午後からの演奏会に出かける体力は残っていないようでした。この演奏会では、オリヴィエ・メシアンの「鳥のカタログ」が全曲通して演奏されることになっていたのでとても残念です。

きょう(日曜日)になっても、お嬢さんの風邪は抜けません。このぶんでは、月曜日の夕方に予約していた美容室に出かけるのもひかえたほうがよさそうです。

美容室に電話をかけて予約の延期を伝える段になって初めて、お嬢さんはずいぶん声がかすれてしまっているのに気付きました。ひとりでくらしていると声を交わす機会がないので、このようなことに気付く機会もないのだなあとしみじみしました。

今は、ことしのはじめにまうかめ堂さんの家からいただいたゆずを砂糖漬けにしたものに湯を注いで、ひとくちづつゆっくりいただいています。火を通さずにこしらえるので、これはたいへんよい香りがします。以下に作り方を書いておきます。

1、ゆずを2つに割り、果肉と種子を取り除きます。果肉と種子はここでは使いませんが、なにか用途がある場合にはとっておきます。

2、ゆずの果皮をできるだけ薄く切ります。果皮の内側の白い部分は取り除く必要はありませんが、果皮の傷の部分や変色した部分は、いただく時に目立つので加えません。

3、清潔なガラス製広口瓶を用意し、瓶の底に1センチほどグラニュー糖を敷きます。グラニュー糖とゆずの果皮を交互に、同じ厚さの層になるよう重ねてゆきます。グラニュー糖はゆずの水分にあうと溶けますし、ゆずもグラニュー糖によって脱水されて高さが減りますので、それぞれじゅうぶんな厚さに詰めてゆくのがよいようです。結果的には、ゆずの容積と同じぐらいのグラニュー糖が入ることになります。

4、さいごに、びんの口いっぱいまでグラニュー糖をつめ、ふたをして冷蔵庫に保管します。

いただく時には、柚子の果皮と、ゆずの風味を吸ったグラニュー糖の両方をガラスのコップに入れ、湯を注いで甘味のついた湯だけをいただきます。なお、お嬢さんはせっけんシャンプーを愛用しておりますので、果汁はリンスとして使っておりました。

写真は、いとこの夫の指導教官とその夫君です。

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