11月7日 (火)  トリッパのこと

アーキヴィストの見習いをしている研究所が所属する大学の学園祭のために、研究所もお休みになりました。そのようなわけで、お嬢さんは11月1日からきょうまで家におりました。

歯が暴れ出すといけませんので、ソプラノの歌手の演奏会にでかけた日を除いて、お嬢さんは家にこもっておとなしく何やらやっておりました。

もっとも時間をかけて行っていたのは、かつてワードプロセッサーで作成した文書をテキストファイルに変換し、パソコンで保存できるようにする作業でした。これらのデータには修士論文の原稿や、そのなかで引用するために書き起こした多くの史料があります。

合計の容量はさほどでもないのですが、ファイルの件数がたいへんに多く、根を詰めて2日と半分ほどすすめてみたところでお嬢さんは力尽きました。

ですが、どれだけ稿数があるのかわからない修士論文の草稿などはともかく、これからだれかに使っていただけそうなもの、たとえばマイクロフィルムのないむかしの新聞を手書きでうつしてきて入力したものや、たいへん難読な書翰の書き起こしなどのデータを救い出すことができたことはよいことでした。

上記のような根をつめる作業の際には、料理をすると心身の転換を図ることができるように思われます。そのようなわけで、すこし前に買った牛胃が冷凍庫にあったことを思い出し、おとといから昨日にかけてトリッパのトマト煮をこしらえました。これはお嬢さんがひそかに得意を自負している料理です。

1、牛胃(はちのすと呼ばれている部位)はぬるま湯でよくもみ洗いをし、水から火にかけ、茹だったら茹でこぼすことを二回くりかえします。

2、断熱鍋の内鍋に牛胃とレモン皮とにんにくを入れて火にかけ、茹だったらレモン皮をとりだして外鍋に入れ、一晩おきます。
レモン皮には牛胃のくせのある油気をとる効果があるように思われます。また、断熱鍋による調理は、牛胃の調理時に出るくせのあるにおいを部屋に出しません。

3、火が通ってやわらかくなった牛胃は、水でよく洗って油気をとったあと、大きさをそろえて細切りにします。なんといいますか、まゆ毛ぐらいの長さと太さでしょうか。

4、ごく薄く輪切りにしたセロリ、縦4つに切ってからごく薄く切ったにんじん、オニオンサラダにするぐらい薄く切った玉葱をフライパンに入れ、多めのオリーブ油と塩でよく炒めます。にんじんをすりおろして加える方法もありますが、こうすると若干甘味の多い風味になります。

5、野菜からよい香りがしてきたら切っておいた牛胃とトマトの缶詰めを加え、水分が引くまで煮つめます。牛胃はじゅうぶん柔らかくなっていますので、煮込むというより煮詰めるという感じです。今回は、郷里から送られてきた大量のトマトジュースがあったので、それも加えました。

トリッパは、いただく時にはチーズをおろし、好みでパセリやケイパーを添えます。そのまま前菜にするほか、パスタにあえていただくと具だくさんでよいものです。

写真は、ケンブリッジ市から北のほうに20分ほど行ったところにあるウォールデン沼というところです。この沼には昔、ソロウという詩人のような批評家のような方が住んでおり、魚や虫をとらえながら執筆をしておられました。


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