3月15日 (水)  大学美術館のこと(つづき)

昨日の日記は、美術館の概観と周辺の昼食事情を書いたところでおわってしまいました。

ハーバード大学美術館は、ボストン美術館やメトロポリタン美術館などの大きな美術館と比較すると、たてものの規模も収蔵点数もちいさいですが、よいところも多くあります。

ひとつは、美術館に来ておられる人があまりいません。昨年も今年も、美術館にはひとりでうかがったのですが、展示室でひとりで作品を眺めることができました。

もうひとつは、いつも同じ作品が同じ場所に展示してあることです。アンジェリコの磔刑図も、ゴッホの最晩年の自画像も、ピカソの青の時代の大きな母子像も、昨年と同じ場所にありました。これは、この美術館が館外に作品を貸し出しすることがないためでもあります。

あとひとつは、美術館の方々がみんな親切であることです。このことについては、またのちほど述べようと思います。

美術館のコレクションの中で、お嬢さんがいちばん長い時間をすごしたのは、一階にあるルネサンス宗教絵画展示室の中にあるアンジェリコの磔刑図でした。イエスの後光をあらわす背景の金地の刻印や、十字架の上部に象徴として描かれている、自分の胸を觜で突いて血を流す白鳥の翼など、さまざまな部分がすべて端正に書き込まれており、前回も今回も、さいごはこの絵の前に戻ってきました。

この展示室は、サンティアゴ・デ・コンポステラ聖堂の柱頭飾りや石柱の一部が用いられており、天井の高さが他の展示室の二階ぶんの高さになっているなど、教会の会堂を想起させるつくりになっています。

二階の、ロセッティとアングルの作品群をおさめたウィンスロップ氏記念展示室とともに、とても好きな場所です。

写真は、昨日よい昼食場所として紹介したサイエンスセンターの入り口です。このようにわかりやすく建物名が表記されています。  

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