6月10日 (土)  擬似菜食のこと

アメリカにでかけた3日目の夜、一行はアーリントン国立墓地を訪れたのち、ワシントン市内のデュポンサークルという場所にある日本風レストランにでかけました。

当初は、アイリッシュ音楽を楽しみながらアイリッシュ料理をいただくレストランに出かける予定であったのですが、すこし体調を崩して日本食が恋しくなったメンバーが出たため、急に場所を変えていただいたものです。

日本風レストランは寿司をメインメニューとしており、一行はいわゆる伝統的なすしのほか、アメリカ流にアレンジされたスシロールやウドンなどをオーダーし、それなりにおいしくいただいて帰路に就きました。

お嬢さんが体調を崩したのは、その日の真夜中のことです。

激しい嘔吐と下痢と高熱が夜通し続き、びろうな話で申しわけありませんが、さいごは洗面所で便座を抱きかかえ、パジャマを下ろしたままで朝を迎えました。

この症状は、昨年、まうかめ堂さんとレストランで牡蠣をいただいたあとに起こった症状と一致します。おそらくウイルスによる中毒でしょう。嘔吐を止めたり瀉下を止めたりすると毒素がまわって症状が悪化すると思い、水分とビタミンを補給しながらできるだけ安静にして残りの日程をすごしました。

さいわい、症状はその後悪化することはなく、食事の楽しみはその後慎んだものの、お嬢さんは充分アメリカを楽しんで帰国しました。

帰国して体重をはかると、お嬢さんは嬉しいぐらいに減量しておりました(それでもまだまだむっちりしておりますが)。そして、食の好みと食事の量も、以前よりたいへんヘルシーに変わっておりました。

具体的には、ベーコンビッツをふりかけたシーザーサラダよりは、火を通したレタスにぽん酢をかけたものを、手羽先で出汁をひいた中華スープよりは、干椎茸で出汁をとって豆腐皮を浮かせた中華スープを、ブルーチーズとくるみに蜂蜜をかけたおやつよりは、枇杷の砂糖煮の汁で銀耳を煮たおやつを、より好むようになりました。また、少し重いお皿を無理にいただくと、少しして気分が悪くなるようにもなりました。

これが継続されれば、服薬の副作用を差し引いても、お嬢さんは以前の姿に戻れるかもしれません。

写真は、文中で紹介したアメリカ流うどんです。ケータリング用のメニューをおみやげに持ち帰ってきましたので、該当する説明を以下に転記しておきます。

Seafood Udon in a Sake Broth
Fish,Mussel and shrimp simmering in a Sake flavored broth with Tofu and vegetables 9.95

このうどんを目の前にした一行は、とりあえず写真を撮ったあと、めいめいの碗にうどんを取り分けながら、どうしてこれらの具が、うどんの成員としてどんぶりに盛られているのか話し合いました。

もっとも妥当性のある仮説として一行に受け入れられたのは、これはうどんのどんぶりに盛られているが、じつは魚介鍋にヒントを得た創作料理であり、鍋のしめくくりにうどんを入れるという慣習を、鍋の具が美しい状態のまま再現したかったのではないかというお嬢さんの仮説でした。レモンが添えてあるのも、鍋をぽん酢でいただくことを考えれば納得できます(実際、うどんの出汁は薄口でたいへん甘く引いてあり、レモンをしぼると味がしまっておいしくいただけました)。

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