6月2日 (金)  アメリカ猫のこと

旅行がはじまって4日目のこと、お嬢さんは体調をくずしてホテルに置いてゆかれ、のこりの一行はシルバースプリング市からすこし離れたアーミッシュの村とアウトレットモールに出かけたことがありました。

お嬢さんは少々英語を話すので、ひとりで置いておいても生きてゆけるだろうとの見込みのようです。ホテルとモールのあいだは歩いても安全だから、すこし良くなったら外出して気晴らしでもしなさい、と、部屋の鍵を置いていって下さいました。

体調をくずした原因は食あたりで、その経緯については後述することがあるかと思いますが、あたった食べ物を身体から出し切ってしまうと、あとは水分を補給するだけで、体調はそのうち回復してきました。洗面をして着替えをし、午後からそろそろと外出です。

昨日の日記で書いたように、アメリカで宿泊していたホテルの近くにはショッピングモールがありました。ターゲットというスーパーマーケットでこまごました日用品や手軽なサプリメントを買い、いちど部屋に戻って荷物を置いたあと、こんどはスーパーフレッシュという食料品店に出かけ、イオンやビタミンを含む滋養飲料を買いました。

だいたい必要な買い物を済ませたあと、モールをぜんぶ見て歩くのもおもしろいだろう、と、お嬢さんはペットおよびペット用品の専門店に出かけてみることにしました。

その店には、ペットフードや散歩用品やあそび道具などが豊富に揃っておりましたが、子犬や子猫の姿はありませんでした。(のちほど、アメリカぐらしの長かった知人に伺ったところ、犬や猫は、店というよりブリーダーやシェルターで探すことが多いのだそうです)

かわりに、店には、事情があって飼うことができなくなった動物を展示して飼い主を募るコーナーがありました。コーナーのカレンダーを見ると、この週は猫の週のようです。

猫たちはめいめいがケージに入っており、めいめいのケージには、もとの飼い主もしくはお店の方もしくはシェルターの方が書いた紹介文が附されていました。旅に病んだ身にはなにか印象深かったので、思い出して下記に訳出しておくしだいです。

「ごきげんよう。ルーシーと申します。3才半になります。飼い主の方にアレルギー症状がおきるようになったので、こちらであたらしい家族をさがしていただいております。前の家族には赤ちゃんと子どもがおりましたので、赤ちゃんや子どもはだいすきで、きっと友達になれます。いたずらは決していたしません。わたしの見事な毛並みとタビー(全身が黒くて四肢の先が白い配色)の色合いをごらんください。あなたのお宅のリビングや暖炉のまわりをよりゴージャスにいたします。あたらしい家族にしていただけますことを心より願っております。ワクチン済み。ごはんはヒルズです。」

お店の猫を写真に撮るのはよくないと思いましたので、ルーシーの写真はありません。この写真は猫の山里の猫です。よく見ると子猫に乳をやっているところです。猫の山里の猫たちは共同で子育てをしており、子どものいないめす猫が乳母をすることがよくあります。目の青いこの猫も乳母猫でしょう。




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