1月20日 (土)  猫の統治のこと

昨日は、猫の山里にいる毛色の変わった猫の写真を日記に載せました。

初出から時間がたっておりますので再び紹介いたしますと、「猫の山里」とは、お嬢さんの郷里から自動車で一時間ちょっと山奥に入ったちいさな村にある祖父の実家です。祖父は「お婿さん」でしたので実家があるのです。

お嬢さんの家族は、父親が結婚するまでこの山里で暮らしておりましたので、この山里が故郷ということになります。たいへん古い時代に建てられた屋敷には、3年ほど前までは祖父の兄が当主として暮らしていたのですが世を去り、現在はその娘さん夫婦と、10年ほど前からじわじわ殖えていったたくさんの猫が暮らしています。

お嬢さんが猫の山里を訪れるのは、春の連休と夏の墓参りと年始のおりです。お嬢さんは猫の山里がたいへん好きなので、訪問の時期が帰郷と重なるよう、父親が計画を立てて下さいます。

ことしは1月7日に山里を訪れました。家族の方にご挨拶をし、仏間に入ってお線香をあげたあとは、父親は山里の近況を当主(父親にとってはいとこの夫君)と談じあい、お嬢さんはひたすら猫とあそびます。

写真は、昨日掲載した写真の猫の父親にあたる猫です。この猫は、猫の山里の猫群を統率する地位に就いているため、「ボス」という名前で呼ばれています。

写真の通りたいへん大きな猫ですが、ボスはたいへん人なつこく、来客があるとまず膝にのり、ついでおなかを伝って肩に登ろうとします。この写真の構図は、膝の上にのってきたところを、身体を少し反らせて撮影したものです。

勢津さん(父のいとこ)の話によれば、ママレード色の猫は非常に智慧があり、また、智慧があるぶん老成するとたいへん油断のならない生き物になるのだそうです。

勢津さんはある冬の日、ボスに向かい、猫というものは戸を開けるばかりで閉めることをしないというが、お前もやはりそうなのか、と嘆いてみせたことがあったそうです。
勢津さんの話を聴いたのか、ボスは下の座敷から上の座敷に上がる引き戸を勢いよく開けて上の座敷に進むと、向きをかえて勢津さんを上の座敷から睨み、音を立てて戸を閉めたといいます。

この光景に立ち会ったのは、勢津さんと、その場に寝合わせていた何匹かの猫だけであったそうです。この話を、父親はあまり信じていないふうでありました。

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