1月21日 (日)  成仏系調理法のこと

まうかめ堂さんの料理のカテゴリの中に、「成仏系」というものがあることに気付いたのは少し前のことで、その定義がお嬢さんの中で得心できるようになったのは最近のことです。

お嬢さんが理解するかぎり、まうかめ堂さんが定義する「成仏系」の料理とは、素材をなるべく無駄なく利用し、かつ、その利用がお皿においてよい効果を生み出し、結果として、美味と合理と満足とが止揚された形で顕われている料理を指します。

まうかめ堂さんによれば、そのもっともよい例は鰻であるのだそうです。身は焼き物にして皮までおいしくいただくことができ、肝は吸物や焼き物に、骨は煎餅にしていただくことができます。

鰻がそうであるならば、唐揚げにして骨までいただくことができるワカサギや、わたまでいただくことができる鮎なども成仏系に含まれるのではないですか、とお嬢さんがたずねたところ、それらは小魚であり、まるごといただくのがデフォルトであるのであえて成仏系に区分する必要はなく、成仏系の素材となりうるのはある程度以上の大きさのものである、という答えがかえってきました。

鰻のほかに、まうかめ堂さんが成仏系であると認めた料理には、シンガポール式鶏飯(鶏肉の茹で汁でごはんを炊き、茹でた鶏肉を添えてたれを付けていただく料理です)と、何日か前に紹介した烏賊のプルピートス(にパンを添えたもの)があります。

また、まうかめ堂さんにおいて、成仏ということばは、「素材から最大限の風味を引き出してある状態」を賞賛するものとして用いられることもあります。非常に上手に煎れてあるコーヒーを賞賛するおりに、この言葉がよく用いられます。

きょうは、数日前に入手したたくさんの柚子を使い、柚子茶と柚子酢と柚子種のリカー漬けをこしらえました。皮は柚子茶に、果汁は柚子酢に、種はリカー漬けにしたので、使わずに残ったのは柚子の蔕と房を包む袋だけです。このような料理も、やはり「成仏系」の一種であるように思います。

柚子茶のこしらえ方は昨年あたりに書いたおぼえがありますが、そのうち再掲いたします。柚子酢はたいへんおいしくできましたので、こちらもそのうち紹介する予定です。

写真は、ワシントン郊外のB&Bの朝食です。向かいのテーブルに座った方が選んだお皿を、席を外しているあいだに撮ったものなので、フォークの並び方やジャムの向きが逆になっています。

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