5月15日 (火)  山菜加工のこと

連休のあいだ、お嬢さんの一家は、父の趣味であり一家にとってのたいせつな作業である山菜の採取と加工に明け暮れていました。

父が山に入ってとって来るのは、ぜんまいという山菜です。山菜おこわや、韓国料理のビビンバに入っている茶色の茎状のものがそれです。

ぜんまいは、採取したままの状態ではたいへん繊維がかたく、そのまま茹でただけでは食材にすることができません。ぜんまいを食材にするには、切り干し大根をこしらえる要領で、ぜんまいを茹で、よく揉みながら乾燥させる必要があります。

この加工過程にはたいへんな時間と手数がかかります。そのため、きちんと食材の状態になるまで乾燥させたぜんまいはたいへん高価にやりとりされており、じょうずに乾燥させたものにはキロあたり2万円近い値段がつくこともあります。

お嬢さんの家では、行事食やごちそうのおり、ぜんまいを用いた料理をたくさんこしらえます。父が採取し、家族で乾燥させたぜんまいは、このようなおりにたいへん役立ちます。

写真は、加工される前の、山からとってきた状態のぜんまいです。ぜんまいという名前は、茎の上部の、葉がくるりと巻いた状態に由来するものと思われます。

写真では、ぜんまいのぜんまい部分が見えておりますが、山に生えているときには、この部分はふんわりした綿毛にくるまれています。

ぜんまいの加工においてもっともたいへんな作業のひとつは、ぜんまいの頭の部分の綿毛をひとつひとつ手で取り除く作業です。綿毛はぜんまいの頭にしっかりと巻き込まれており、一度にぺろりと取り除くことはできません。

お嬢さんはごく小さなころから、ぜんまいを山のように広げたむしろのそばに祖母とちんまりと座り、祖母といっしょにぜんまいの綿毛を取り除く作業を手伝うことがたいそう好きでした。

山のように見えるぜんまいも、せっせと作業をしてゆくと片付けることができます。むしろの上のぜんまいがすっかり片付くと、両手でかかえるほどの綿毛が残り、それはお嬢さんのよいおもちゃになっていました。

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