9月26日 (水)  ぶどう汁のこと

秋分の日の前日、お嬢さんが街の音楽会から帰ってくると、夜分に電話がかかってきました。電話の主は祖母で、本日農家の葡萄などを送ったので、あす届くであろうということです。

秋分の日の昼前、宅急便の方に起こしていただくようにして荷物を受け取ると、荷物はトマトなどが入っている平たい段ボール箱をふたつ重ねた姿をしていました。葡萄など、ということは、ひとつが葡萄、もうひとつが野菜であろうとふんで箱を開けると、ひとつの箱には濃紺色の葡萄、もうひとつの箱には淡緑色の葡萄と数個の梨が入っていました。

淡緑色の葡萄はロザリオビアンコという品種で日持ちがしますが、濃紺色の葡萄はベリーAという品種でした。ベリーAは昔からある葡萄の品種で、皮と身のあいだに甘みの濃い層があり、皮をこそげるようにぬるりといただくとたいへんおいしいものですが、あまり日持ちがしません。よく熟したものは房から実粒がとれてしまうので、店先で見かけることも少ないようです。

膨大な葡萄を前に、お嬢さんは少し途方に暮れたあと、フライパンを取り出し、猛然とぶどう汁作りにとりかかりました。作り方は以下の通りです。

1、葡萄を洗い、房から実を外し、水を張ったボウルに入れて細かい汚れをとり、いたんだ実を取り除きます。

2、フライパン(あれば琺瑯製の平鍋がよいです)に葡萄の粒を水気のついたまま入れ、火にかけます。葡萄の粒に付いた水滴のほか、水は加えません。また、甘味も特に加えません。

3、しばらく火にかけていると、ちょうどトマトピューレをこしらえる時のように、葡萄の粒が熱によってはじけ、果汁がしみてくるようになります。

4、葡萄の粒のほとんどがはじけ、全体がぐつぐつしてきたら火を止め、フライパンの中身をざるをおいたボウルにあけ、果汁がボウルに滴るのを待ちます。これには少し時間がかかります。

5、ボウルで受けた果汁は、清潔な容器に移して冷蔵保存します。濃い果汁がとれますので、いただく時には水や炭酸水で割っていただきます。

6、ざるに残った果肉と皮を裏ごしにかけると、果肉のピューレと皮・種子とに分けることができます。ピューレに甘味を加えて煮詰めるとジャム状のものになり、これはヨーグルトによく合います。皮と種子は捨てます。

この日の奮闘で、お嬢さんは小さなペットボトル4本の果汁と、大きなジャム瓶ふたつ分の濃縮果肉を得ることができました。火を通してあっても果汁は醗酵してくるらしく、こちらは急いでいただこうと思います。

写真は、猫の山里の街の駅にやってきた蒸気機関車です。

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