9月7日 (金)  台風の目のこと

昨日は、アーキヴィストの見習いの仕事のあと、街の音楽ホールに出かけてジャズピアノの演奏会を聴きました。ジャズピアノを直接聴くのは2回目で、ピアノソロの演奏会を聴くのは初めてです。

ふだんはクラシックの演奏会が開催されることが多い音楽ホールにたくさんの照明器具が並べられ、曲が終わるごとにひょういひょういと独特の賛辞の声が発せられる中で音楽を聴くことは、なんとなく不思議な体験のように思われました。お嬢さんが思うところ、ジャズの演奏会は、おいしい食事やアルコールを楽しみながら、ゆるゆると聴くほうがよいように思われます。

音楽会の帰りは、台風の接近による風雨に重なりました。ずぶぬれのお嬢さんは部屋に帰ると上から下まで着替えをし、それからタオルを持って、廊下に残った水のしずくを拭きに出たほどです。

きょうは台風の余波を勘案して家におりました。

ラジオを聴くと、東京を通過した台風はお嬢さんの郷里に一直線に向かっているようです。祖母を案じて電話をかけると祖母が出て、こちらは風雨は強いが、台風の目はまだ見えていないので、まだこれからなのだろうという答えが返ってきました。

「台風の目というものは、地上から見えるものでしょうか」

お嬢さんがたずねると、祖母は、
「ずっと以前、まだ家族が猫の山里の街に住んでいたころ、いっしょに見た記憶があるのを忘れたか。朝が来たら山羊の小屋がむこうの畑に飛んでいて、桐林の桐がごろごろと倒れていた、あの台風の時、たしかに雲の渦と、渦の中の蒼い目が見えたはずだ」

言われると、たしかにそうであったように思われました。あれは、お嬢さんが小学生になったばかりで、小学校の演劇鑑賞会のために入院先から外泊した日のことであったと思います。さきほどまでの風雨がきゅうに止み、外が明るくなったので、ふたりで外に出たときのことです。

きのうからきょうにかけての台風は、東京の夜を越えて過ぎていったので、目を見る機会はありませんでした。しかし、台風のあとの夕焼けはたいへん鮮やかでした。

写真は、お嬢さんの郷里のはずれにある川の合流点です。

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