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まうかめ堂 BBS 過去ログ2



トレチェントの追加 Myoushin 【2005/05/15 23:14:59】
ギラルデッロ・ダ・フィレンツェのグロリアをアップしました。
http://musica-antiqua.org/Data/GherardelloDaFirenze/Gloria.html
何だかマドリガーレそのものですよね。あんまり世俗曲と宗教的な曲とか区別してなかったのかもしれないですね。聞いただけだと、分からないかもしれません。

マーラ・プニカの演奏聞きました。ウェブでこんなのありなんですか???確かに構造は分かりにくいかも、私は自分の性格で譜面に忠実(ルバートは殆ど使わない)にしているつもりなので、そういう感想は有りかもしれません。

パロディ・ミサ がむと 【2005/05/15 03:06:00】
一応パロディ・ミサの定義は、ある曲の定旋律や一部の旋律だけでなく、構造そのものまで素材にしてしまう物だったとおもいます。いま作っているジョスカンのミサ「不幸が私を打つ」なんかがそうですが……。

http://www.geocities.jp/gammautalamire/Anon.html#MaleurMeBat (元曲)
http://www.geocities.jp/gammautalamire/Josquin.html#MisMaleur_Kyrie (ジョスカンのパロディ・ミサ)

ジョスカンのほうは、MIDIを作っていると分りますが、殆ど構成原理に近いところまで借用しています。もちろん、借用といっても、それを利用しながら新たに展開させるところに真骨頂があるのですが……。

マテオのほうはどの程度借用しているのでしょうね。想像ですが、それほど大規模ではないように思いますが……。

>マーラ・プニカの演奏よりも Myoushin さんの MIDI の方がわかりやすいという気もしますね。

僕もそう思います。Cantilena様式は確かに世俗の要素をとりこんだものだとおもいますが、演奏まで世俗曲とまったく同じというのはないような気がします。それにちょっとテンポが間延びしすぎていて、構造が全然分らなくなってしまってますね。テンポが実際どうだったかは分りませんが、歌詞が不鮮明になるほど遅くはないと思いますね。少なくとも、構造が明解という点では、MyoushinさんのMIDIのほうが上だと思います。

なんだかトレチェントから、随分レスが伸びたものですね。

マテオ・ダ・ペルージャのグロリア1(続) まうかめ堂 【2005/05/15 02:06:56】
> もっと古い伝統があるのかもしれないですね。

ちゃんと調べてみたわけではないですが、確認されているのは14世紀末の Bartholomeus de Bononia, Antonius 'Zacharias' da Teramo そしてこのマテオなんかが最初のようです。

もちろんそれ以前になかったとは誰も言いきれませんが…。

ただこれをパロディ・ミサと言ってよいかについてはあまり自信が無いですね。
フランドル楽派のものなんかとはだいぶ異る感じがしますし。

それから、検索をかけていたら、この Gloria のマーラ・プニカの演奏の mp3 がまるまる聞けてしまうところに行き当りました。

http://perusio.com/matteo_or_mattheus_en

(しかしこのサイトはいったい何なのだろうか?)
マーラ・プニカの演奏よりも Myoushin さんの MIDI の方がわかりやすいという気もしますね。

Ars subtiliorのパロディ・ミサ? がむと 【2005/05/14 12:19:22】
こんにちは。

もしマテオ・ダ・ペルージャでパロディ・ミサがあったとすると、もっと古い伝統があるのかもしれないですね。アルス・ノヴァもそうですが、14世紀のミサ曲は、耳で聞けるものは余りにもなさすぎですね(僕が知らないだけかもしれませんが)。当時の教会が定量記譜法による教会音楽を毛嫌いしていたという事情があっても、非難されるぐらいですから、かなり多く作られていそうですが。

ひょっとすると、定量記譜法と一緒に、世俗の作品の要素も入ってくるせいで、定量記譜法を使うことを恐れたのかもしれないと思っています。多分、実際にかなり入って来ていたのではと疑っています。

Gloria1は音楽史的にも面白そうですが、作品としてもかなり完成度の高いものですね。Myoushinさんに感謝です(^^;

マテオ・ダ・ペルージャのグロリア1 まうかめ堂 【2005/05/14 02:02:22】
またまたですが「世俗曲との違いが良くわからない」というのは、当たっていると思われます。

この曲はマーラ・プニカの有名なディスク、 Missa Cantilena に取り上げられてる曲で、下の方でうっかり「パロディ・ミサのはしりであって、しかもパロディされてるのが Ars subtilior の歌曲だ」と言ってしまったものです。

この曲の場合、「パロディされてる」というか取り込まれてる曲が、どうもフィリポクトゥス・デ・カゼルタの En atendant soufrir のようですが、冒頭以外あまりはっきりとは関係が見えない気もします。(どうなんでしょうか?)

それにこの書法は完全にマテオ・ダ・ペルージャのもので、独特のメランコリーを導く、独特の調性感というか和声感覚は彼の一傾向を示すもののように思います。
(Puisque je sui とか Heras Avril と同じカテゴリーに分類できるのではないかと思います。)

上のディスクのペドロ・メメルスドルフの解説によると、元曲の詞はこれらのミサ断章の meta-text になってる、みたいなことを言ってたりします。なんか、Gloria の衣を着た世俗曲なのかもしれません。

マテオ・ダ・ペルージャのグロリア Myoushin 【2005/05/13 20:16:41】HomePage
勢いでグロリア1もアップしました。
この曲のほうがマッテオらしいと思います。
http://musica-antiqua.org/ArsSubtilior/MatteoDaPerugia/SacredMusic/Gloria1.html
この曲の場合、私は世俗曲との違いが良くわからないですね。リズム的な遊びの要素は少なくなっていますが、あまりミサの断章っぽくないようです。

マテオ・ダ・ペルージャのグロリア まうかめ堂 【2005/05/13 03:03:55】
「デュファイみたいな作風」というのも「ラッパのグローリアなんかに行き着きそうな」というのも極めて当たってるみたいです。ウエルガス・アンサンブルのマテオ・ダ・ペルージャのディスクのネーヴェルによるこの曲の解説を見たら、

「とても気まぐれで virtuosic な器楽のテノールはデュファイの時代に trompette de menestrel (ミンストレルのスライド付きトランペット)のために書かれた alla trombetta tenor parts と類似している。」

なんてことが書かれていました。やはりこの時代、こんなふうな金管系の華やかな作風ってそれなり流行ったみたいですね。

> ブラサールや、ランタンはどうも独特の暗さがあって

リエージュの人達に限るのかどうかわかりませんが、Canonici 213 の曲には独特のメランコリーを感じることが多い気がします。

マテオ・ダ・ペルージャ がむと 【2005/05/12 22:45:52】
こんばんは。

早速MIDI拝聴しました。この曲すごく面白いですね。
確かにデュファイ風味は感じました。以前まうかめ堂さんが作られていた、デュファイの師匠、ロクヴィルとも共通しているような気もします。プレ・フランドル楽派というか、いわゆるブルゴーニュ楽派に属する時代の直前ということになるでしょうか。

たまたま、僕のほうもリエージュ出身のランタンのグローリアをアップしていましたが、こちらのほうはもうちょっと地味目なんですね。

http://www.geocities.jp/gammautalamire/LantinsHugo.html#Gloria213F59v

マテオ・ダ・ペルージャのほうが明るいです。こちらのほうが、デュファイという感じですね。ラッパのグローリアなんかに行き着きそうな感じです。

ブラサールや、ランタンはどうも独特の暗さがあって、これはこれで僕は好きなんですけど、リエージュ楽派とでもいったほうがいいかなあという気もしています。

トレチェント追加 Myoushin 【2005/05/12 22:09:00】HomePage
前にあったマテオ・ダ・ペルージャのグロリア 2をアップしました。デュファイみたいな作風と思ったんですが、如何?
http://musica-antiqua.org/ArsSubtilior/MatteoDaPerugia/SacredMusic/Gloria2.html
やっぱり、お国柄が出ていて興味津々ですね・・・(^^

まだまだトレチェント まうかめ堂 【2005/05/12 02:57:46】
トレチェントの話が盛り上がって、うれしいです。

ヤコポ・ダ・ボローニャのモテトは私もとても興味深いと思いました。まさに、トレチェントの様式でモテトを作るとこうなるのだという様子がよく見てとれて面白いですね。

(それにしても MUSICA ANTIQUA ってつくづくすごいアーカイヴですね。)

> マショーのモテットのスタイルに近いように

そうですね、全体の空気感とか、導音の使いかたとか似てる感じもしますね。
ただ、共通の始祖としてペトルス・デ・クルーチェや Roman de Fauvel のモテト(ヴィトリとか)などのアルス・アンティカとアルス・ノヴァの境目のモテトがあると思います。

いや、でもフランス音楽との関係は考えはじめるといろいろわからなくなってきますね。

> 時代が少し下るマテオ・ダ・ペルージャもグロリア6曲・クレド2曲
> を作曲しています。

このレパートリー、すごく面白いですよね。パロディ・ミサのはしりであって、しかもパロディされてるのが Ars subtilior の歌曲だっていうのはちょっと面白すぎます。

さすが! がむと 【2005/05/11 23:13:46】
こんばんは。

まうかめ堂さん、Myoushinさん、ご教示して下さって、ありがとうございます(^^; MyoushinさんにはMIDIまで聴かせて下さって、感激しています。

MyoushinさんのMIDIで思ったのですが、このモテットには、ホケトゥスらしいものがところどころ聴かれますし、全体のスタイルはマショーのモテットのスタイルに近いようにも思います。もし、マショーの模倣をしたことになると、フランスの音楽のことは、ヤコポ・ダ・ボローニャたちは十分知っていた上で、あえてそこから離れてトレチェント様式を発達させたということになりそうなんですが……。

……ということを、MIDIを聞きながら考えていましたが、あってるんでしょうか。

トレチェント補足 Myoushin 【2005/05/11 04:36:34】HomePage
トレチェントの宗教曲はミサ曲の一部・モテトなどが残っています。現代譜ではPolyphonic Music of The Fouteenth Centuryの12・13巻にあります。世俗曲の方が圧倒的に多いですね。MUSICA ANTIQUAではヤコポ・ダ・ボローニャのモテトが一曲だけMIDI化してあります。↓
http://musica-antiqua.org/Data/JacopoDaBologna/Motet/LuxPurpurata.html
時代が少し下るマテオ・ダ・ペルージャもグロリア6曲・クレド2曲を作曲しています。

Re: セレクション まうかめ堂 【2005/05/09 21:47:49】
> セレクションのページ、本当に面白かったです。

がむとさんに面白いと言ってもらえてうれしいです。

最初はがむとさんのところの「お勧めの曲たち」のページのようなものを目指して始めたのですが、コメントを付けているうち内容が膨れあがって、何か別のものなってしまいました(笑)。

扱おうとしてる期間も長いですし、大雑把な理解と記述で、いいのかなという部分はなきにしもあらずなのですが…。

> ルネサンス前夜のイタリアでは、即興的に簡素なホモフォニックな和声付けを
> した曲が中心だったような記述をどこかでよんだような気がします。

今、グラウト/パリスカ 『新西洋音楽史』を見たら「14世紀のイタリアにおける教会の多声音楽は、大部分即興で成り立っていた。」とありました。

同時代(あるいはもう少し後の)イギリスの、sighting とか faburden みたいな具体的な技術とかあったんでしょうかね。

セレクション がむと 【2005/05/08 22:52:26】
こんばんは。

セレクションのページ、本当に面白かったです。実はうちのページでも、こういうページを作りたいのですが、まだ色々捉え切れていないところも多くて、なかなか書きはじめられなくて……。それにしても、こういう一般の人にも分かりやすく、面白く書けるというのは、才能ですね。

>もしかすると14世紀のイタリアの教会では「高級な」ポリフォニーを歌う習慣があまりなかったのかもしれませんね。

ルネサンス前夜のイタリアでは、即興的に簡素なホモフォニックな和声付けをした曲が中心だったような記述をどこかでよんだような気がします。多分、これは後にコンペールや初期のジョスカンなんかが取り込むDeclamatioの技法なんかにその痕跡をみることができるのではないかと想像しています(実際はどうなのか分りませんが)。

しかし、このあたりのフランドル楽派前夜というのは、どうも捕らえるのがすごく難しくて、正直分かっていません。一応アルス・スブティリオルに飽きて、簡潔なスタイルへ回帰した後に、イギリスの影響を受けて、ということになるのでしょうが……。

ひきつづきトレチェント まうかめ堂 【2005/05/08 16:00:38】
Myoushin さん、がむとさん、こんにちは。

> 少なくとも中世の音楽ではトレチェントとアルス・ノヴァが
> 双璧というのは普通の考えでしょう。

仰るとおり、14世紀についてはそうでしょうね。

その割にはトレチェントの音楽は実際演奏される比重が小さすぎるように思いますね。
実際に演奏して楽しいのは案外マショーよりトレチェントなんじゃないかという気がしなくもないのですが…。(どちらも難しいことにはかわりはないですけど。)

> 彼らは宗教曲などは残したのでしょうか。

私もよくわからないのですが、どうもだいぶ少ないらしいですね。

Carl Parrish: The Notation of Medieval Music

の中に Bartholus de Florentia という人のミサ断片(Credo)が載っているのですが、それによると

The facsimile on these plates is of one of the few sacred pieces by Italian composers of the fourteenth century.

とあります。
興味がでてきたので La Trobe 大学のデータベースにあたってみたら

http://www.lib.latrobe.edu.au/MMDB/composer/COM080.htm

この人がフィレンツェの大聖堂に mensural polyphony を導入した、みたいなことが書いてあるので、もしかすると14世紀のイタリアの教会では「高級な」ポリフォニーを歌う習慣があまりなかったのかもしれませんね。
この辺、調べてみると面白そうです。

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