- Le greygnour bien (ballade)
- Le grant desir (ballade)
- Se je me plaing (ballade)
- Dame que j'aym (virelai)
- Helas avril (virelai)
- Dame souvrayne (virelai)
- Heylas que feray (virelai)
- Ne me chaut (virelai)
- Pour bel acueil (rondeau)
- Trover ne puis (rondeau)
- Se pour loyaulment servir (rondeau)
- Andray soulet (canon)
マテウス・デ・ペルージオ(Matheus de Perusio, d 1418)はイタリア名を Matteo da Perugia といい、ペルージャ出身の作曲家です。 Matheus は Modena 写本に30曲あまりもの曲を残しています。これは、同時代の作曲家 の多くが数曲しか残していないのに対して、かなり多いと言ってよいでしょう。
Matheus は Le greygnour bien のような極度に複雑なリズムを持つ Manneristic Style の作品も残していますが、大部分が Manneristic Style を脱脚しつつある か脱脚した Modern style の作品です。 しかし、だからといってルネサンス的響きがするかというとそうではなく、 独自の調性感、和声感覚を持った Matheus 固有の世界を確立しているのがおもしろい ところです。
- Le greygnour bien (ballade)
- Willi Apel によると「これは manneristic なスタイルと記譜の最も顕著な例の ひとつ」とのことです。 極度に複雑なリズム構成をもちます。現代譜で、 Superius と Tenor が4分の2拍子であるのに対し Contra は8分の6拍子で 対立します。シンコペーションも複雑です。時として全パートがばらばらになったかの ように聞こえます。 Ars subtilior の見本のように取り上げられる機会も多い曲ですが Matheus の作品 としてはかなり特殊なものといえます。
- Le grant desir (ballade)
- 調号が、Tenor と Contra にはフラット2つつけられているのに対し Superius には何もつけられていないかフラット1つで、独特な調性感の曲です。
- Se je me plaing (ballade)
- 3声のポリフォニーが美しい軽快な ballade です。
- Dame que j'aym (virelai)
- 現代譜で、Superius は8分の6拍子であるのに対し、Tenor と Contra は 4分の2拍子で進行します。
- Helas avril (virelai)
- 美しいメロディーと和声をもった曲です。臨時記号がつけられた変化音の 陰影が絶妙です。
- Dame souvrayne (virelai)
- ときおり Contra に現れる2連符の動きが manneristic style の名残りの ようです。
- Heylas que feray (virelai)
- 異例の低い key で書かれた virelai です。
- Ne me chaut (virelai)
- 2声体の可愛い virelai です。
- Pour bel acueil (rondeau)
- B パートの終わりに Superius 現れる2連符の動きが全体のアクセントに なっています。
- Trover ne puis (rondeau)
- commixtio (mixed mode)の技法で書かれた作品です。 Superius は Eb の調号と Bb の調号が交互にあらわれて mode が次々と変わっていきます。 そして mode が固定されている下2声としばしば衝突します。
- Se pour loyaulment servir (rondeau)
- 軽快な rondeau です。
- Andray soulet (canon)
- 3声のカノンです。3声が組み合わさってポリフォニーを形成するように 見事に設計されています。