ここではケルンのフランコ著『計量音楽論』の記述を基に、13世紀の記譜法の決定版である「フランコ式記譜法」について解説をしてみたいと思います。フランコ式記譜法は、その後の計量記譜法の基礎となるもので、これを理解しておけば、アルス・ノヴァの記譜法やその後の「白符計量記譜法」なども比較的すぐに理解できると思います。
目次
参考文献
まず最初に参考文献をあげときます。
- [Apel]: Willi Apel, The Notation of Polyphonic Music 900-1600, Cambridge, 1942,49,61.
- [Parrish]: Carl Parrish, The Notation of Medieval Music, New York, 1957.
- [Kanazawa]: 金澤正剛著「中世音楽の精神史」, 講談社選書メチエ, 1998.
1.は計量記譜法のことなら何でも来いという中世・ルネサンスの多声音楽の記譜法の教科書の決定版です。半世紀以上前の書物ですがまだまだずっと現役でしょう。450ページ以上ある分厚い本で、近代記譜法に近い順に「独奏楽器の記譜法」「白符計量記譜法」「黒符計量記譜法」の順に書かれているので、最初から真面目に読んだりするとなかなか中世の黒符まで到達しないかもしれません。 ちなみにこの本は最初三分の二(中世以外の部分!)の抄訳本が出ています。
2.は中世音楽に限って、多声音楽だけでなくグレゴリオ聖歌や世俗の単旋律の歌曲の記譜なども扱かった本です。こちらは簡にして要を得たという感じですが、版の摩耗によりファクシミリが薄くて読みにくかったりするのがちょっと難点です。
どちらも Amazon なんかでも買える本ですが、その性質上しばしば在庫切れになってます。ただ岩波の専門書なんかと同じで何年か待つとまた出版されるようです。 どちらも音楽学の専門の図書館に行かないと置いてないような本で、なかなか一般の人間がパッと読めるという風にはいかないようです。
3.はもちろん記譜法だけに関する本ではないですが、簡潔ですが核心を押さえた説明がされています。
あ、それから、ケルンのフランコ著『計量音楽論』のまうかめ堂訳の入り口は次です。
では、本編に参りましょう。
[目次]
|