ここから先は、ケルンのフランコ Franco de Colonia (13世紀後半)著『計量音楽論』 Ars cantus mensurabilis (1250年以後 or 1280年ごろ成立)の、ラテン語原文からの翻訳のページです。
これは、ケルンのフランコ Franco de Colonia (13世紀後半)著『計量音楽論』 Ars cantus mensurabilis という論文のラテン語の原文からの翻訳です。書かれたのは1250年以降あるいは1280年ごろと言われています。 内容は、当時の記譜法がかなり具体的に記述されています。それは13世紀の、あるいはアルス・アンティカの記譜法の決定版とも言うべきもので、現在「フランコ式記譜法」と呼ばれているものです。
それのみならず、この書が決定的に重要なのは、「異なる音価は異なる符形で表示する」という(近代記譜法ではあたりまえの)ことを西洋音楽において初めて明確に提示した点にあります。 そして、この書で定式化されたリズムの記述についての考え方は、14世紀のアルス・ノヴァの記譜法、そしてさらにその後2世紀の間(15、16世紀)に用いられた「白符計量記譜法」の下地となっている点で非常に重要です。 つまりフランコ式記譜法を理解していれば、その後の計量記譜法はすんなり理解できます。
さて、翻訳についてですが、私はラテン語に十分習熟しているわけでもなく、また中世音楽の専門家でもないので、ほんとはあまり人に見せられるようなものではないかもしれません。 言うまでもないことですが、「ちゃんとした訳」を読みたい方は下の[Minagawa]や[Source]を読んでください。
底本は、一応、TMLにあるいくつかのヴァージョンを比較しつつ、独自に勝手に作ったものを使っています。 特に、譜例については、意味が通るように修正した部分がいくつかあります。(あと、譜例の製作に用いた MusixTeX の技術的な理由で、3線の譜が4線になってたりします(笑)。)
それから、私の作った「フランコ式記譜法」のちょっとした解説が次にあります。
この翻訳ページの新しいスタイルシートの原型を作って下さった Flos musicae の sumika さんに感謝いたします。
参考までに、翻訳のために作ったノートを置いときます。まあ、ほとんど glossary というか単語帳で、「まうかめ堂日記」に連載してたやつの元本です。製作過程で出来たようなものなので訳文とか文法解釈とか上の「真正な版」と違うことがあると思います。
[Prologus], [Cap 1], [Cap 2], [Cap 3], [Cap 4], [Cap 5], [Cap 6], [Cap 7], [Cap 8], [Cap 9], [Cap 10], [Cap 11], [Cap 12], [Cap 13], [Cap 14].
単語の意味を調べるのにとりあえず使ってるのは words というフリーのプログラムです。単語帳にはこれの出力がペーストしてあり、他の辞書で調べたものも大体これの書式に合わせています。というわけでいちおう凡例を作りました。
Last modified: 2006/9/2