Diary 2006. 10
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10月31日 (火)  こどもどうぶつえんのこと

上野動物園には、西園と東園という2つの区分があり、それぞれたいそうな広さがあります。お嬢さんと父と小さいさんは、そのどちらも見てまわりました。

上野駅を降りて、文化会館と西洋美術館のあいだをまっすぐ歩くと、大噴水広場の先に動物園の青い大きな門が見えます。ここを入り口としているのが東園です。

東園には、パンダ、ライオン、虎、猛禽類、かわうそなど、大がかりな展示環境な必要な動物たちが主にくらしています。

小さいさんの大きいほうは、パンダを眺めることを楽しみにしていました。ところが、パンダの展示室に入ってみたところ、パンダは腹を上にして堂々と眠っており、まったく動きません。そのようなわけで、小さいさんの大きいほうは、パンダよりも、かわうそや猛禽類など、近くで眺めることができ、かつよく動く動物をよく楽しんだようでした。

東園からちいさなモノレールに乗るか、連絡通路の坂道をのんびり降りてゆくと、不忍池のほとりにある西園に着きます。

ここには、きりん、しまうま、かば、鹿類などの草食動物が集められています。お嬢さんの推察ですが、肉食動物の気配があると、草食動物はなんとなく生きた心地がしないので、このような分割配置がとられているのではないかと思われます。

草食動物を主としているためか、西園は東園と比較するとおとなしく和やかな印象があります。小さいさんの小さいほうは、ここできりんを眺めてたいそう喜んでいました(ちょうどよいことに、西園にはきりんを眺めながら食事をいただくことのできる軽食堂があります)。

西園にはまた、人間が柵の中に入って動物に触れることのできる「こどもどうぶつえん」があります。

柵に入ると、体格や色合いの異なるたくさんの山羊がのんびり立ち座りをしており、自由に触れることができます。また、柵の中には別の小さな柵があり、ろば、ポニー、子牛、モルモットなどが飼育されていますが、これらに触れるためには係員の指示に従わなければなりません。長い行列ができていたので、今回こちらは見送りました。

写真は、こどもどうぶつえんの山羊です。一見おだやかそうな風貌をしていますが、山羊という動物はほんとうはそのようなものではありません。


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10月30日 (月)  かわうそ判別法のこと

前回の日記からすこし時間があいてしまいました。

日記を書かないでいるあいだ、お嬢さんは抜く(取り出す)ことが決まっている歯の調子がどうも悪く、何度かお医者さんに通っておりました。

悪さの原因となる歯は下顎の骨のなかに埋まっており、腫れや発熱などの炎症を引き起こします。耳の下からはじまった腫れがゆっくり首に広がり、だんだん呼吸に影響を及ぼし始めた時にはたいそう焦りました。腫れがもっとも広がった時(ジャバザハットという映画上の生き物をご存じでしょうか。ちょうどあのような感じに近くなりました)には点滴をしていただき、現在は抗生物質を服用することで、今のところ症状は落ち着いています。

そのような中でしたが、昨日は父と小さいさんふたりが動物園を見るために上京してきましたので、引率手伝いとしていっしょに上野動物園にでかけました。

この企画は一月ほど前に計画されていたのですが、小さいさんの大きいほうが、なにか行事があると直前に呼吸器の調子をくずしてしまうために何度か中止されていました。きのうはよいお天気でもあり、新幹線を降りてから帰りの新幹線に乗り込むまで、小さいさんはふたりとも元気で安堵しました。

写真は、かわうそが展示水槽に泳いで出てくるところです。

かわうその展示場は、ババロア型のような円形のプールと、かわうその寝場所である小さなケージが一体化した基礎部分と、透明なアクリルで作られた直方体の展示水槽の二つの部分からなっています。

基礎部分と展示水槽は透明なパイプでつながっており、自由に行き来ができます。展示水槽にもじゅうぶんな広さがありますので、かわうそはひんぱんにパイプをくぐって展示水槽にあらわれ、取り囲んだ人々に愛嬌を振りまいていました。

お嬢さんの郷里では、かわうそは若い女性に化けて男性をたぶらかし、人を取って喰うものであるとされてきました。

目の前にいる若い女性が、かわうそが化けたものであるか本物の若い女性であるかを判別するにはおもむろに手首を握ってみるのがよく、かわうそが化けている場合、手首の握り心地が筒状であることで判別ができるのだそうです。

しかしこれは、男性が若い女性の手をとる口実のひとつにちがいありません。

動物園では、このほかにいくつかの写真をとりました。おりがあればまた書くことがあるだろうと思います。




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10月18日 (水)  ジェラート問答のこと

昨日は火曜日であったので、まうかめ堂さんと夕食をいただきました。

スペイン風軽食をいただいたのち、食後の甘味をいただくため、お嬢さんとまうかめ堂さんは、夕食をいただいたお店のすぐ近くのジェラート店に立ち寄りました。

このジェラート店では、400円を支払うと、手ごろな大きさの紙製ジェラート容器に3種類までのジェラートをよそって下さいます。ジェラートには、牛乳と卵を主成分とした濃厚な風味のものと、果汁や果実酒を主成分としたさっぱりした風味の2種類があり、ショーケースにはそれぞれの風味が日替わりで6種類づつ、計12種類並んでいます。

お嬢さんは濃厚な風味のものを3種類、まうかめ堂さんは濃厚な風味のものを2種類、さっぱりした風味のものを1種類よそっていただき、席に就きました。

以下は、ジェラートをいただきながら、まうかめ堂さんにお嬢さんが語りかけた言葉の抄録です。いくつかの固有名詞が登場いたしますが、そうであってもどこかに残しておくべきものであるとまうかめ堂さんが励ましてくださったので、以下に載せておくしだいです。

すた:このオレオ味のジェラート、うまうまですよ。

まう:知っています。それは以前いただきました。

すた:オレオでこれほどうまうまなら、ビスコでこれをこしらえれば、もう相当にうまうまでしょう。なにより滋養も豊富ですし。

まう:ビスコというのは、箱に男児が描かれているあれでしょうか。

すた:あれです。
そう、あの男児はむかし、小児用救命丸に描かれるほどの虚弱児でした。ですが彼はビスコによって成長し、のちにはマラソン選手となり、キャラメル箱に描かれに至るのです。
大会のおり、給水所で他の選手が清涼飲料や水に手をのばす中、彼は断固としてビスコを手にとり走り続けました。いいですか、水なしでビスコです。
ですが、彼はしだいに走りに行き詰まりを感じるようになり、オリンピックののち、ついに命を絶つに至るのです。「あと300メートル足りませんでした」と。
命を絶った彼は、その後メーカーを越え、現在は天使の姿となって菓子業界を見守っているのです。

まうかめ堂さんが咳き込みながら悶絶する姿を久しぶりに見ることができました。

このジェラート店は、ジェラートが美味であることのほか、店内に大きな猫が数匹うろうろしていることも大きな魅力です。甘噛みをする猫もおりますが、どの猫もだいぶん年をとっており、たいてい静かに丸まったり伸びたりしています。

写真は、地下鉄のハーバード駅前です。

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10月17日 (火)  秋野菜のこと

先日は、日曜日に父と会ったおり、父からたくさんの野菜をおみやげにいただいたことを書きました。

父は、日曜日に上京する前日、「道の駅」に立ち寄る用件があり、そこでたくさんの野菜を求めてきたようでした。

お嬢さんの里には、たくさんの「道の駅」という施設があります。道の駅は幹線道路や観光道路にあり、高速道路のパーキングエリアのような役割を果たすほか、地域のめずらしい産物が直売されています。この季節は秋の収穫期でもありますので、特にたくさんの産物が売られているのでしょう。

このようなわけで、週末からきょうにかけて、お嬢さんは一挙に野菜長者になりました。

ばれいしょやヤーコン(これは、野菜なのか果物なのか、いまひとつ判断できかねるふしぎな食物です)などは保存がききますので、そのまま箱にしまっておくことにし、きょうはさっそく胡瓜と玉葱を使って、チョルバン・サラトスという種類のサラダをこしらえました。

このサラダは、日本語にすると「牧童風野菜サラダ」になるのでしょうか。材料を小切りにしてあえるため、さじですくっていただくことができます。以下にだいたいの作り方を書いておきます。

1、きゅうりは両端を切り落し、皮引きで数本皮を引いて縦縞もようにしたあと、縦に四等分してから1センチほどの小口切りにします。

2、玉葱は、ハンバーグに加えるぐらいの粗さのみじん切りにします。

3、ダイストマトの缶詰め、もしくはマリネされたトマトの缶詰めを器にあけ、取り残しの皮やへたを取っておきます。生のトマトを用いる場合には、湯にくぐらせて皮を取ったあと、きゅうりと同じぐらいの小切りにし、なるべく種をとっておきます。

4、玉葱、きゅうり、トマトをボウルに入れ、レモン汁と塩とオリーブ油で調味します。

5、野菜と調味料がよくなじんだら、タッパーにあけて冷蔵庫でよく冷やします。

色あいや口あたりのバランスがとれる割合としては、トマトの缶詰1缶、きゅうり3本、玉葱半個ぐらいが適当であるように思います。

上記の作り方はもっともシンプルなもので、ここにさまざまな具材を加えることで、風味や栄養の変化をつけることができます。きょうは、黒オリーブの輪切りとロゼ色の粒胡椒とみじん切りのパセリを加えて色合いを華やかにしてみました。

写真は、ボストンのチャイナタウンにある中華料理店です。

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10月15日 (日)  ポウポウのこと

きょうは、父が上京してくることになっていましたので、時間をあわせて会い、お嬢さんの手術の承諾書にサインをしていただきました。

父はときどき政治の仕事をしています。きょう上京していたのは、もうすぐ告示される地方選挙に際し、候補者になってほしい方に立候補のお願いをするためであったそうです。午前に会議をし、すぐ新幹線にのって東京に出かけて面会をし、帰ってまた会議をしなければならないと忙しそうにしていました。

父からは、きのう道の駅で求めたものですということで、たくさんの野菜と果物をおみやげにいただきました。車に乗って買いに出かけたのでたくさん買ってしまったのだけれども、お嬢さんが持てる分だけにして、あとは小包で送りますとのことでしたが、それでもいただいた紙袋はずしりと重く、ようやっと持って家に戻りました。

帰宅して袋をあけてみると、きゅうりが10本、バートレット梨が3個、ししとうとピーマンがみっしり1袋づつ、モロッコいんげんがみっしり2袋、ヤーコンが5本、ポウポウが7個入っていました。

ポウポウはお嬢さんが大変好む果物です。大きさは小さな茄子、もしくは大きめのハムスターほどで、色は薄緑色(はやと瓜やひょうたんのような色)をしており、すべすべしています。いただく時には皮をごく薄く剥き、中に入っている大きな種をよけながら、ねっとりした果肉をいただきます。果肉は、酸味の全くない、たいへん甘い味で、バナナとマンゴーを足したような強い南国の香りがします。

このようにエキゾティックな風味を持つ果物でありながら、ポウポウはお嬢さんの郷里のような寒い地方でよく育ちます。むかしは、多くの家にポウポウが育っており、お嬢さんの狙うがままになっていたのですが、木にも寿命があるのか、最近は郷里でもめったに見かけなくなりました。

ポウポウの大きな種子は、播くとよく発芽するそうです。きょういただいたポウポウも、種子を洗ってとっておくことにしました。まうかめ堂さんにでも播いていただこうと思います。

写真はハーバード大学の構内です。この花は姫リンゴかカイドウリンゴであると思います。

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10月12日 (木)  肉丸湯のこと

前回の日記では、手術にそなえてふだん飲んでいるお薬をお休みするかわりに、毎朝体温を測定することになったことを書きました。

朝起きの、まだ半分夢の中のような状態で体温を測定することにはだんだん慣れてきましたが、そのようにして測定した体温が、ここ6日ばかりずっと37度の周辺であることにお嬢さんはとまどっています。

朝の体温の高さや変動によって体調を判断する本によれば、このような状態が3週間ほど続いた場合には、まずあかちゃんがやってきた可能性を考えるべきであると書かれています。ですが、お嬢さんが受胎告知を受けたおぼえは断乎としてありません。

微熱の原因となるその他の可能性を読みすすめてみますと、なにかの細菌やウイルスに感染した場合にも、このような熱が続くということが書かれていました。これならなんとなく合点がゆきます。

昨日、呼吸器の定期的な診察のためにかかりつけのお医者さんにうかがったおりに熱のことを相談すると、お医者さんは、これは身体が熱のある状態を欲しているということなので、熱を下げたり抗生物質を服用したりすることはせず、滋養と休息をとってゆっくりしているのがよいでしょうとおっしゃいました。

お嬢さんの平熱は35度ほどですので、37度の状態は少したいへんなのですが(特に、たくさんの汗をかくことが仕事において少し困ります)、おおもとの原因と思われる歯の手術がおわるまで、ゆるゆるやりすごしてみようと思います。

滋養のありそうなものということで、きょうは肉丸湯をこしらえました。自己流ですが、作り方を下に書いておきます。

1、豚の挽肉に、塩と胡椒、生姜のすりおろしを加えてよく混ぜ、煮立てた湯のなかに団子状にして落とし、火が通ったら湯からあげておきます。茹で汁はとっておきます。

2、干椎茸をもどして細長い方向に切ったもの、白菜をそぎ切りにしたもの、人参を薄切りにしたものを、油をひいたフライパンで少し多めの塩で炒めます。生姜の千切りや胡椒を加えてもよいですし、塩ではなく中華調味料で炒めてもよいです。

3、スープ用の深鍋に炒めた野菜をあけたあと、野菜をいためていたフライパンで肉丸を色付くまで炒め、野菜の入っている深鍋に追加します。肉丸の茹で汁、干椎茸の戻し汁を深鍋に注ぎ、あくをとりながら煮込みます。

これがおおもとの作り方ですが、ここに木耳を加えると、歯ごたえのよい汁になります。また、クコを加えると彩りがよくなります。肉丸を作るのが面倒であるという場合には、肉丸をベーコンや干貝柱にかえてもよい味になります。

写真は、ワシントン郊外の韓国料理店でいただいた海鮮チヂミです。具材の蟹かまぼこが思いがけずよい風味を出していました。

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10月6日 (金)  体温のこと

12月の小さな手術にそなえて、お嬢さんは少しづついろいろな準備をしています。

お嬢さんは、体調の管理のため、毎日数種類のお薬をのんでいます。それぞれのお薬は、それだけをのんでいるぶんには身体によい影響をおよぼしますが、ある種類のお薬と飲みあわせると片方の効果が薄くなったり、逆に効果が高くなりすぎたりします。

12月の小さな手術にあたっても、そのことがお医者さんとのあいだで問題になりました。

手術にいちばん影響を与えそうなのは呼吸器の状態です。これについては、歯の状態がこれから急に悪化することはないという予想のもとに、手術を呼吸器の状態が安定する季節までのばすことにして、毎日のお薬はそのまま続けることにしました。

もう1種類、お嬢さんが毎日のんでいるお薬には、女性のためのホルモンの調子を整えるお薬があります。このお薬には、血液が血管の中で固まりやすくなるという副作用があり、念のためにこれは手術の前までお休みすることにしました。

このお薬は3週間服用して1週間お休みすることを繰り返すものですが、ちょうどきょう、21錠目の服用がおわりました(お薬はカレンダーのようなシートにまとめて入っていて、日数の計算がしやすくなっています)。ふだんであれば1週間服用をお休みして新しいシートを出してくるのですが、これから12月まではお休みということになります。

このお薬をお休みしている間は、ホルモン的な体調がどうであるか調べるために、毎日起きがけの体温を測定する必要があります。体温は、できれば毎日だいたい同じ時間に測定するのがよいので、休日には目覚ましをかけて一度ふだん通りに目を覚まし、体温を測定してからまた眠りにつくという手間が生じます。ねぼけていてもよいように、筆記用具と小さなノートを枕元に置くことにしました。

写真は、ボストン市営地下鉄のハーバード駅前です。coopと書かれた看板が下がっている建物は大学生協書籍部で、ここでは教科書や先生方の著作などが売られているほか、履修のおわった本の買い取りも行われています。

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10月4日 (水)  CTのこと

昨日は、口腔外科にでかけたことを書きました。

口腔外科では、まず歯並び全体の写真をもとに先生が歯の状態を見てくださったあと、もう少し詳しいデータがほしいのでCTをとりましょうということになりました。

CTは、ふつうは何日か前に予約を入れて撮っていただき、すこし日数をかけて画像を選んで現像するものであるようですが、この病院には、急な依頼や急を要する患者さんのための、緊急CT室という設備があります。依頼書を持って緊急CT室に出かけると、その部屋は病院の一階の救急車の出入り口の近くにありました。

緊急CT室では、撮影のあと、すこし待っているとフィルムができあがります。撮影を終えて待っていると、お嬢さんのところの小さいさんぐらいのこどもが撮影を待っておられました。

小さいさんはとても心配そうな様子で、おかあさんとおばあさんに、痛くはないのかしきりにたずねています。

お嬢さんは小さいさんのとなりに掛けていたので、小さいさんがお嬢さんのかばんに描かれている羊の写真に目をとめているのに気付きました。また、小さいさんが手にもっている戦隊系のビニール人形が、お嬢さんのところの小さいさんとおそろいであることにも気付きました。

「いたくありませんよ、ぜんぜん」

お嬢さんは小さいさんに呼び掛けました。

「いたくないというより、この機械からは身体を強くするパワー光線が出るのです。お嬢さんはさっきこの光線を浴びましたが、たぶんあしたぐらいには、そのお人形みたいに強い身体に変身するはずです。これは、とっても特別な人にしか与えられないパワーなのです、すごいじゃないですか、おたがい。」

納得したような、しないような表情をしていた小さいさんでしたが、CT室の扉が開き、白衣を着た技師さんが手招きをしたとたん、ぶるぶる震えておかあさんにしがみつきました。

おかあさんが、しがみついたままの小さいさんといっしょにCT室に入ろうとすると、小さいさんはおかあさんから離れ、こんどはお嬢さんにしがみつきました。

おかあさんとおばあさんが、申しわけありませんと言いながらお嬢さんから小さいさんを離そうとすると、小さいさんはするりとお嬢さんから離れ、通路のまんなかにしっかり立つと、

「きょうは、やめにしますから」

と言うなり、そのままどこかに駆けていってしまいました。

おかあさんが小さいさんを追い、おばあさんが技師さんに相談しているあいだ、遠くでは小さいさんの小さい泣き声が響いていました。急いでCTを撮影しなければならないというからには、なにかたいへんな理由があるのでしょう。たいへん心配しています。

写真は、昨年末から今年のはじめにかけて降った雪です。郷里の家の二階から通りを撮ってみました。通りのまんなかより、人の出入りする両端に雪がより高く積もっているのは、早朝、除雪車が雪を両端におしのける形で「除雪」をしていったためです。この、除雪車による雪を除雪(といっても他に空間はありませんので、押し寄せられた雪をまた通りのまん中に戻すのですが)することから、郷里の冬の朝は始まります。

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10月3日 (火)  続2・歯のこと

きょうは、近くの歯医者さんに紹介状を書いていただいた大学病院の口腔外科にでかけてきました。

先月の半ばあたりから、お嬢さんは下の奥歯のあたりが痛むようになりました。レントゲンなどの結果、痛みの原因は、いろいろ理由があって生えてこないままになっている「幻の臼歯」であることがわかり、その歯を取り出すかどうか、また、取り出すにしてもその歯が歯肉や顎の骨の中でどのような状態になっているのかをもう少し詳しく調べるために、通っている歯医者さんが紹介状を書いて下さったのです。

病院ではまず、パントモグラフィという、顎の骨に歯が付いた状態をパノラマのように撮影する機械で、歯並びと顎の骨の状態を詳しく診ていただきました。

口腔外科の先生のお話によると、「幻の臼歯」は、顔や歯の神経が集まっている場所のすぐ上に位置しており、たくさんの注意を払っても、術後しばらくは唇や顔にちいさな不自由が生じる可能性が高いのだそうです。

また、「幻の臼歯」の上に生えている二本の奥歯は、本来は顎の骨や歯肉に支えられて根付いていなくてはならないのですが、真下にある歯がそれを阻害しているため、「幻の臼歯」の抜歯と共に、ぐらぐらしたり、過敏になったり、場合によっては抜けてしまう可能性があることも教えていただきました。

パントモグラフィでは、歯並びを表から見た図しか撮影することができません。そのため、CTをとって、こんどは歯並びを上から(頭部を顎のあたりで輪切りにしたかんじで)撮影してみると、「幻の臼歯」は、いわゆる食べ物に接する面を唇側に、根を舌側に向けて、ちょうど縦方向に倒れていることがわかりました。

しかも、この歯はたいへん大きいようです。お嬢さんの口の中で、地上(歯肉から上)に生えているどの歯よりも大きく見えます。もし、この歯がきちんと出ていてくれていたなら、たいそう役立っただろうと思いました。

歯を取り出すリスクをていねいに説明していただいたのち、お嬢さんとお医者さんは、それでも、やはり歯は取り出さなければならないだろうという合意に至りました。あとは方法と時期です。

お嬢さんは複数の薬品にアレルギーを持っており、また、呼吸器が弱い体質を持っています。そのようなわけで、麻酔は全身麻酔ではなく局所麻酔で、また、局所麻酔であっても全身状態をよく観察しながら行われることになりました。歯を取り出す時期についても、呼吸器の状態が安定しないこの季節は痛み止めでなんとか乗り切ることにし、季節が冬に移行する12月に行われることになりました。歯の取り出しは小さな手術室で行われ、取り出しには1時間以上かかるとのことです。

家に帰ってから、お嬢さんはカレンダーの12月2日のところに、赤いペンで大きく「surgery」と書き込みをしました。サージェリーということばは、まうかめ堂さんが研究においてごくたまに口にすることばです。なんとなく気に入っていたので、この時とばかりに書いてみました。

写真は、ハーバード大学のロースクールの庭です。よくみるとりすがちらりと写りこんでいます。

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